『あすなろ通信』2014年6月第175号

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高松あすなろの会
主な記事

武富士創業家責任追及訴訟 不当判決

2010年9月の武富士破綻後、「武富士創業家一族の過払い金逃れを許してはならない!」と、武富士に対する過払い金債権者が集団となって2011年に武富士創業家に対し損害賠償請求を提訴していました。香川県の債権者は、東京第2陣訴訟に統合することとなり、その後東京訴訟は第7陣まで増えました。この武富士創業家責任追及訴訟は、東京地裁のほか累計で17地裁1支部において、全国40都道府県、合計約2,800名が原告となっています。

提訴から3年、注目の東京第1陣(第7陣も第1陣に統合)判決が2014年3月14日、東京地裁でありました。第1陣の裁判は、当初裁判官の取り組む姿勢が非常に前向きで好感触と伝えられていましたので、判決には期待していたのですが、結果は「原告の請求を棄却する」との全面敗訴でした。原告弁護団によると、判決内容は、「被告(武富士創業家)の主張は証拠がなくとも認めるが、原告(過払い債権者)の主張は証拠があっても正しく評価せず認めない」という、まず結論ありきのとんでもない不当判決であるとのことです。

その後、4月25日に第5陣判決、5月19日に第3陣判決がありましたが、こちらも第1陣同様の全面敗訴の判決でした。しかも、本来これら裁判は、所属部も裁判官も皆違う裁判体にもかかわらず、明らかに第1陣判決文をコピーしたかのような箇所が多数あるとのことです。

そして、5月26日、香川県の過払い債権者も入っている東京第2陣の判決がありました。残念ながら、第2陣もこれまで同様の全面敗訴判決でした。

改正貸金業法が2010年に完全施行されて4年、大多数の中小サラ金は店を閉め、全国規模の大手サラ金も現在は数えるほどしか営業していません。多くの人は、サラ金業者が「つぶれた」と思われるでしょうが、実態は、サラ金業が儲けられなくなり、さらに過払い金を返したくないがために、廃業や解散などにより経営者自らが「つぶした」のです。

過払い金で儲け蓄えた巨額の金は、多くのサラ金経営者の懐に温存されたままになっています。武富士も同様なのですが、判決を書いた裁判官は、武富士は経営難で「つぶれた」とでも思っているのでしょうか。

数は減りましたが、過払い金返還の本人訴訟で現在でもたまに裁判所へ同行し傍聴するのですが、中には「相手方(業者)の経営が苦しいので過払い金をまけてあげなさい」と、平気でとんでもないことを言う裁判官がいます。業者の営業帳簿を見たわけでもないにもかかわらず、「経営が苦しい」という業者の言い訳をそのまま鵜呑みにして言っているとしか思えないのですが、こんな安直な考えで判決を書かれると、今回のような不当判決になるのかもしれません。

こんな不当判決のままでは引き下がれません。そもそもこの裁判は、「どちらが勝っても負けても最高裁まで行く」と言われていました。原告の方々もそれは承知で原告になられたと思います。3年経過し、当時のモチベーションを保ち続けるのは難しいことかもしれません。しかし、全国弁護団の先生方は、「武富士創業家一族の逃げ切りは決して許さない」との思いから、知恵を出し合われて日夜奮闘されています。

どうかお一人でも多くの原告の皆さんが控訴されることをお願いいたします。

  • (事務局)

「クレプトマニア(窃盗癖)って何?」 ―集会の感想とその後―

去る3月15日(土)に、独立行政法人福祉医療機構の社会福祉振興助成金で当会主催の講演会「クレプトマニア(窃盗癖)って何? 〜なぜ万引きがやめられないのか〜」を開催しました。

本講演会は、福祉・行政・医療・司法関係者はもちろんのこと、広く市民一般に対し、クレプトマニア(窃盗症)の実態と支援の必要性を普及・啓発し、困窮状態にあるクレプトマニアやその家族の支援を実効的なものとすることを目的といたしました。

講演は、クレプトマニア治療の全国的な第一人者である、赤城高原ホスピタルの竹村道夫院長にお越しいただき、「新たな視点から常習窃盗対策を考える ―900症例の治療経験から―」と題されたお話をしていただきました。

計画段階では、当初どのくらいの反響があるのか全く読めず、これまでの集会の経験から100名程度の会場で決定しました。案内チラシは2,000枚印刷し、2月初旬から関係各所に配布や郵送したところ、すぐに申し込みが次々と入り始め、最終的に集会前日の3月14日には147名に達していました。事前申し込みが100名を越えた時点で、会場の担当者と打ち合わせを重ね、会場の空きスペースにイスを補充すれば最大で150席用意することができる旨の連絡をいただいていました。ただ、事前申込み無しでも当日参加はOKにしていましたので、申し込みをして当日来られない方を差し引いても、150名オーバーはするのではと思っていました。

当日配布資料は200セット印刷して、助成金報告用に2セット取り置きをし、198セット会場に持参していたのですが、開場前から多くの方にお越しいただき、最終的に220名の参加がありました。

事前計画の2倍以上の多数の参加者に来場していただいたうえ、後方では立ち見の方もたくさんいらっしゃいましたが、途中退席等も極めて少なく大盛況の集会となりました。参加者は、香川県内在住者にとどまらず、四国四県はもちろん、中国地方、近畿地方、九州地方、関東地方からもご来場いただきました。赤城高原ホスピタルのホームページにも告知されていましたし、最近のSNS(FacebookやLINE等のソーシャルネットワークサービス)の効果なのかもしれません。当日資料をお渡しできなかった方には、後日増刷をしてお送りさせていただきました。

これは、講演者がクレプトマニア治療の第一人者である竹村先生であったことはもちろんですが、なにより、クレプトマニアや常習窃盗問題への関心の高さを示しているものと思われ、この問題で悩まれている当事者、家族、支援者が全国的にいかに多いかが分かりました。

また、マスメディアの関心もひき、事前告知が、NHK(テレビ)、西日本放送(テレビとラジオ)、四国新聞、高知新聞とあり、当日取材も、NHK(テレビ)、瀬戸内海放送(テレビ)、四国新聞とありました。

竹村先生の講演は、900症例もの治療に基づいて、一般向きに詳しく分かりやすく解説されていました。常習窃盗者は

  • (1)経済的利益のために金目の物品や金銭を盗む窃盗者
  • (2)飢えて食物や生活必需品を盗む貧困者
  • (3)お金を持っているのに些細なものを盗むクレプトマニア

に分類されるとのことで、刑事処罰を受ける人の中には、職業的犯罪者や犯罪集団構成員に該当しない、(3)のクレプトマニアもいて、彼(彼女)らは、ほぼ全例が単独犯であり、万引き以外の点において反社会的傾向が少なく、万引きにより本人自身が強い苦痛を感じていることが多いということでした。

竹村先生は、「病的窃盗(窃盗症・窃盗癖・クレプトマニア)は、治療可能であり、治療によって処罰よりも効果的に再犯を防止できる。処罰よりも治療を優先すべきである」と語られ、900症例もの治療経験から、自助グループによるミーティングの有効性やその他認知行動療法が紹介されました。

竹村先生の講演で、クレプトマニアが回復可能な精神疾患であって、適切な治療と巡りあい、当事者の治療努力が継続すれば、回復の可能性が充分にあるものであることを学びました。一方、クレプトマニアに対しては、刑罰のみによる再犯予防効果は少ないということも理解できました。

そして、精神疾患として分類・診断し、治療の場へ結び付けて終わるのではなく、必要なことは、彼(彼女)らの回復の過程で寄り添い、共感する支援であると痛感しました。

当会では、現在、クレプトマニアの方たちの自助グループ「クレプトマニア・アノニマス香川(KA香川)」と、そこから発展して摂食障がいの自助グループと家族会(家族のための自助グループ)を立ち上げ、定期的に開催をしています。AA(アルコホーリクス・アノニマス)やGA(ギャンブラーズ・アノニマス)などの自助グループは、本来いかなる組織にも属さず、当事者によって運営され、連絡先も当事者が担うことが多いのですが、クレプトマニアについては、当事者が一般社会などからの攻撃を受けかねない立場にあることなどから、KAなどのいずれの自助グループも連絡先は当面のあいだ当会にして活動いたします。

また、集会後も、クレプトマニアと思われる症状のある本人や家族からの問い合わせ電話も、香川県内や近隣県から度々入っています。

今後、自助グループを中心に、医療関係者や司法関係者、その他支援者グループが連携し、ネットワークを作り、当事者が治療等に積極的な刑事司法手続の最中だけではなく、刑務所で服役をしている間の支援や出所に際しての支援についても模索していきたいと考えています。

  • (事務局)

[集会のお知らせ]生活困窮者自立支援制度シンポジウム 〜待ったなし! 生活支援〜 生活困窮者自立支援法をどう活かすのかin香川

とき
2014年6月28日()午後1時20分〜午後4時50分 (受付午後1時〜)
資料代
1,000円
ところ
かがわ総合リハビリテーションセンター 福祉センター第1・第2研修室(110名定員)
(香川県高松市田村町1114番地)
基調講演
「生活困窮者自立支援法が目指す支援とは」厚生労働省 社会・援護局 生活困窮者自立支援室長 熊木正人氏
生活困窮者自立促進支援モデル事業の報告
高知市生活支援相談センター 副センター長 中島由美氏
家計相談支援事業の報告
グリーンコープ生活再生事業推進室長 常務理事 行岡みち子氏
ケース検討・社会保障制度の活用について
滋賀県野洲市市民生活相談課 専門員 生水裕美氏
滋賀県野洲市市民生活相談課 主任 宇都宮誠実氏
地元団体からの報告
香川県地域生活定着支援センター
高松あすなろの会
主催
行政の生活再建対策の充実を求める全国会議
セーフティネット貸付実現全国会議
  • 参加希望の方は、高松あすなろの会までご連絡ください。

万引きがやめられなくてお困りの方へ

何度も逮捕され、執行猶予中でありながら、万引きがやめられない――クレプトマニア(窃盗症)の問題でお悩みの方は、高松あすなろの会へご相談を。

多重債務・生活再建の勉強会

調停・過払い金返還勉強会に加えて、破産手続きの勉強会など多重債務全般のほか、生活するうえでの困りごと「なんでも勉強会」です。

会員の方は、どなたでも参加できます。足が遠のいている方もどうぞお気軽にご参加ください。

  • 毎週月曜日(月曜休日の場合は翌火曜日)午後7時00分〜午後9時00分

「継続は力なり!」毎週かかさず参加しましょう。

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