武富士の責任を追及する全国会議による過払債権の保障に関する要望書

要望書

  • 東京地方裁判所民事第8部 御中
  • 平成22年11月25日
  • 武富士の責任を追及する全国会議
    代表
    弁護士 新里宏二
    (事務局)
    東京都千代田区六番町3番地11 テシコ六番町ビル3階
    TEL
    03-3511-7471
    FAX
    03-3511-7472

第1. 要望の趣旨

1 裁判所は、更生会社に対し、更生手続開始決定までに更生会社において判明した過払債権者の全部を記録した、会社更生規則13条1項5号に規定する「更生債権となることが見込まれる者の氏名又は名称及びその有する債権の内容を記録した一覧表(以下「債権者一覧表」という。)」の提出を会社更生規則13条の2に基づき求められたい。

2 裁判所は、更生手続開始決定までに更生会社において判明した全ての過払債権者に対し、会社更生法43条3項に基づき、個別郵送による通知をされたい。

また、管財人に対し、会社更生規則42条に基づき、債権届出期間の末日の通知(以下「債権届出の通知」という。)を知れている全ての更生債権者に個別郵送による通知をすることを指導・監督されたい。

第2.要望の理由

1 更生会社は、更生手続開始の申立以前から、完済した顧客を含めた全取引について、利息制限法に従った引き直し計算を行っていると債権者説明会で公表し、更生手続開始決定がなされるまでに完了させた。更生債権者となることが見込まれる者やその有する債権の内容を記録した債権者一覧表は、法定された更生手続開始の申立書の添付書類であり、更生手続開始の申立以後、更生手続開始決定までの間に、更生債権となるべき債権者及びその債権額に膨大な変更があるにもかかわらず、裁判所がその補正・追完を求めず内容の把握をしないまま、管財人の職務執行を監督していくことはできない。

2 更生手続開始の決定をしたときには、知れている債権者等へ公告すべき事項を通知しなければならず(会社更生法43条3項)、上記1のとおり、更生会社は更生手続開始決定までに、全ての過払債権者を覚知しており、知れている債権者としてその通知を受けることは、全ての過払債権者の当然の権利である。

また、更生手続開始決定と同時に、関係人集会を招集せずに管財人の選任について、書面による意見を述べる期間を平成22年12月28日までと定められている。届出をした更生債権者等に意見を述べることができる旨の通知をしなければならない(会社更生法85条4項)にもかかわらず、この期間までに、自ら債権者であることを覚知できない膨大な数の過払債権者は、裁判所からの通知がなされないことによって、管財人の選任についての意見を述べる機会を奪われる結果となり、厳格な会社更生手続きにおける公平性を確保することはできない。

管財人においては、知れている未届債権者への債権届出期間の末日を通知し、債権届出を催告する必要があり(会社更生規則42条)、一般の会社更生事件では、更生会社の外部から入ってくる管財人が、更生債権となるべき債権の存否・内容を的確に認識することが出来ずに、客観的に知れている更生債権を失権させても、必ずしも信義則に反しないと解する余地はあり得る。

しかし、本件会社更生事件は、更生会社の申立代理人の地位にあった者が管財人に選任された事件である。事業継続が困難となった更生会社から相談を受け、破綻手続きの専門家として、全取引について利息制限法に従った引き直し計算をすべきことを指導し、同計算により判明する過払債権者への対応を更生会社と共に検討してきた申立代理人であった管財人が、更生債権者となるべき者を主導的に確定させたのであるから、その存在を知りながら債権者に通知せず、更生債権等を失権させることは、管財人の善管注意義務違反による損害賠償義務(会社更生法80条)を発生させる可能性が高く、債権届出をする意思がないことが明らかであると認められる者を除き、全ての判明した過払債権者にこれらの通知がなされなければ、本件会社更生手続に重大な瑕疵を生ずることになる。

3 管財人は、申立代理人の立場で債権者説明会において、家族に知られたくないとする潜在的過払債権者が多くあることを理由として、上記通知を個別直接には行わず、新聞・テレビCM等利用し周知することを説明した。これまで更生会社は、契約の際に家族に知られたくないと申告した顧客のために、本人の携帯電話や社名のない封筒を利用するなど個人の事情に配慮した請求を行ってきており、その連絡伝達の手法を本件における通知に活用することは容易である。現に添付のとおり、一部の更生債権者に送付されている会社更生法43条3項に基づく通知は、更生裁判所や更生会社が判別されない封筒を使用し、家庭の不和等重大な問題を引き起こすことを避けるための取扱いがなされている。取引が終了して長期間経過している者等、更生会社が把握している住所を既に転出している可能性がある場合でも、ロプロの会社更生手続きと同様に他の住所地を確認し、不着先に対する再発送がなされるべきである。二次的に記録されている携帯電話などを利用することで不着先の減少にも繋がり、プライバシーに対する配慮も可能となる。

また、旧会社更生法47条2項では、知れている債権者等に対して更生手続開始の決定の主文等を記載した書面を「送達」することとされていたが、更生手続開始の決定は、その開始の時から効力は生じ(会社更生法41条1項)、送達による特段の法的効果は結び付けられていなかったことから新法によって「通知」と緩和されたものである。これらは、自らが更生債権者となるべき債権者であることを認識している債権者等利害関係人に注意喚起を図ることを目的としており、自らが債権者であることを覚知していない更生債権者となるべき債権者への「通知」は、通知を受けた者が更生債権者であることを覚知できるものでなければならず、かつ、裁判所の定めた管財人選任についての意見を述べる期間前になされなければ、手続参加及び権利行使の機会を確保するための会社更生法の定める通知とはいえない。

更生会社においては、取引継続中の利用者のうち過払いとなっている者について、ATM利用者と銀行振込利用者とに分けたうえ、送金を防ぐ対策を取るなど、過払債権者の権利を侵害しないための取組みも始めていると聞いている。裁判所においては、本件が、膨大な数の過払債権者を有する会社更生手続のリーディングケースとなる事件であるだけに、法に基づき厳正かつ適切に対処されたい。

200万人・2兆円とも言われる過払債権者の権利保証が本件会社更生手続の公正を担保するものであり、プライバシー保護に最善の配慮をしながらも、自らを債権者と覚知させるために個別の通知は不可欠である。また、更生会社及び管財人にとって、明らかに知れている債権者であるにもかかわらず、自ら債権者であることを認識できない膨大な数の過払債権者に手続関与の機会を保障しないまま、事業の維持更生を図ることはとうてい許されない。

よって、要望の趣旨の対応を強く求める。

  • 以上

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